以上が二大オーディオ雑誌の付録で作ったステレオです。これがいまや存亡の危機に瀕しているオーディオという趣味を象徴しています。
アンプとスピーカー二本、コード、全部ひっくるめても一万円を切るこのシステム、まずは音が出るのでしょうか? 鳴ってもラジカセみたいな音しかしなのでは? いえいえ、一丁前にきれいに、そして堂々と鳴り響きます。もちろん重低音は出ません。また、空気感の再現も無理です。しかし、チェロの胴鳴り、ギター、パーカッションなどを生き生きと再生します。何と、わたしのアキューフェーズのアンプとタンノイのスピーカーのコンビからは聴けない音までが聞こえます!これぞオーディオの醍醐味です。 ただ、相性の悪いCDなんかだとかなりひどい音も出します。良くも悪くも小さなバックロード・ホーン・スピーカーの癖が音を支配してしまいます。試みにスピーカーをヤマハ10M Pro(註)に替えてみました。それはもう見事というほかはない再生音を聴くことが出来ました。アンプDF13Aは、出力が少し足りないことを除けば、かなりハイ・レベルのスピーカーにも位負けしない実力があります。凄い!(註 YAMAHA 10M Pro:長く多くの録音スタジオ・で使われている小型モニター・スピーカーの定番。)
音楽は心で聴くものです。オーディオ装置とは音楽を聴く(再生する)ためのただの道具です。工業製品ですから、高い品質の製品は当然高価になります。高級品を買い集めれば誰がやってもそれなりの音は出ます。最近のマニアは大体百万円ぐらいからスタートするのだとか。オーディオ趣味はいまや金持ちの道楽と成り下がって、庶民からはどんどん離れて行くようです。
趣味としてのオーディオを危うくしているもう一つの理由として、音楽の垂れ流し配信があります。ウオークマンに始まってiPod、そして今ではスマートホンに代表されるヘッドホン(イヤホン)音楽がそれです。そのようなものに慣れると、頭の中を音が飛び回っていさえいればいいという異常な精神構造が出来上がってしまいます。部屋に座ってスピーカーから流れる一曲に耳を傾けるという普通のことが日常から消えることになります。クラシック音楽はヘッドホンで聞き流すのには向いていませんから、当然クラシックを聴く機会も失われます。クラシックだけが音楽だとは言いませんが、クラシックの名曲を”少しだけでも”知ることは音楽ファンになるためには欠かせません。ギターの小品「禁じられた遊び」を知っていますか。あれはクラシック音楽です。
このような小さな名曲を、何としてもイヤホンなどではなく、スピーカーから出る音で聴いてもらいたい。昭和のオーディオ・マニアとしてはそう思います。
このページに載せた2枚の写真に写っているものは小さくても”正統派のオーディオ・装置”です。パソコンさえあればたった一万円で楽しむことが出来ます。簡単なな組み立て作業さえ厭わなければ、よい音で"音楽"を聴くことが出来ます。誰もがオーディオマニアになる必要はありません。このような手軽な、それでいて素敵な音がする装置に出会って、それが音楽を”人生の友”とするきっかけになるのならすばらしいことだ、とわたしは思います。
(Yahooブログ2016/12/6より転載)
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